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執筆者の写真TAKUROZOME

カレイに月暦図

海に潜りシュノーケリングをしているとキスもしくはマゴチ、カレイなどに

よく出くわす。とは言っても、よく見ないと砂にカモフラージュされてすぐに見失う。

彼らは砂浜に擬態する能力があるように思えるほど色味が同じで自然の面白さは

そういうところにもある。外敵から身を守るためか、ただただ砂の色に憧れているのか

知る由も無いが。。

先日、とある大阪の美術高校でロウ染めのワークショップをさせて頂いた。

テーマは「大自然」。染めるアイテムは10CM四方にも満たないコースターである。

こんなちいさなアイテムに大自然を表現させるという無茶振りかなと思いつつ、

生徒に投げかけてみた。そして出来上がった作品を見てみると、多種多様な広大な

大自然が広がっていたのである。。具象抽象問わずコンセプチュアルな作品が多く

見受けられた。一例すると、一見大きな人の瞳が画面いっぱいにモチーフとして

模様化されているかと思えば瞳の中に猫が映っていた。人間も自然の一部とするならば

瞳の中の世界は宇宙だと理解することができる。高校生の発想恐るべし。。

そんな高度な作品がゴロゴロしている。。

その日は約70人ほどのワークショップで大変さよりも驚きの方が多かった。

そんなこともあり自分の発想とは何かと考えるようになった。

私の場合は体験中にアイデアが浮かぶことが多い。もしくは植物や生き物や風景など

実際にスケッチしているときに思いつくことが多々ある。

それは冒頭のシュノーケリング、魚釣りなどを感覚的に遊んでいるときに、アイデアが降ってくる感覚。ただそのアイデアなるものは、ひとりよがりなものではあるが。。。

染色は防染することで模様を表現するものなので、模様の楽しさや不思議さをコントロール

できないほど一人歩きしてくれればいいと思っている。そう簡単にコントロールできない

ものが美術だとも思っているということは観る人も感性によってはキャッチできたり

できなかったりもするものだ。

今回の作品は発想に重きを置いている。カレイが同じ方向を向いて砂浜に潜んでいるとき、

ゴーグル越しに月の暦図に見えたことがきっかけで模様化したものである。

ちょっと遊びで隕石が降ってクレーターになっていたりするのは何人の方が気づいたのか

ちょっと気にはなる。。。


 カレイに月暦図 178CM×163CM 絹 酸性染料 2023年























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