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  • 執筆者の写真TAKUROZOME

一人よがりのものさし

先日のブログで作家性というテーマで出て来た言葉。。ひとりよがり。

15年以上前の話で、もう完全にうる覚えなのですが坂田和賓さんのお書きになった

作品集?コレクションの骨董を紹介された本のタイトルが「一人よがりのものさし」。

これがもう何というか今までのすべての自分の価値観が崩れてしまった。。

という出来事があった。

自分が美しい。。と思ったものを躊躇なく表舞台で主役に抜擢させるような、

茶碗とか、器はそりゃ美しいというものは少数派で、下手するとゴミ箱に捨てられていそうなぼろ布や、廃棄されそうな昔の瓦など、観方によっては、いや使い方によっては、美しく

化けるものをメインに取り上げられていた。(瓦におにぎりをのせていた写真はかなり

美味そうでした。。)あと、現代作家の器も紹介されていて、新しいものの良さも踏襲しつつ、面白かったのはご自分で着古していたヨウジヤマモトのYシャツも、骨董品として紹介

していたんですよね。。美しいものは転がっているんだよと教えて頂いた気がするのです。

そんな自分も、とにかく入門として蕎麦猪口を買うようになり、目利きも全く無いに等しい

ながらも、何千種類もある模様、文様に驚きながら自分なりのものさしで買ってたのであるが。。

自分の表現のテーマである「見立て」は、ほぼ間違いなく坂田和賓さんと伊万里の蕎麦猪口

の影響を受けているとつくづく思う。

江戸時代の職人の筆さばきは、大胆で息使いが聴こえてくるよう。。下絵無しで描いていると思われる筆致は到底真似できないなぁと思う。一本の何気ない線の強弱に何かしらドラマが垣間見えたり、観る側はその線を蝋燭に見立てたり、植物の茎に見立てたり、鑑賞者、使う側の見立てで完成するのは工芸の良いところだと思う。

てことは、使う人もアーティストみたいなところがあって、実は知らぬ間に皆アーティスト

なんだというロマンも感じながら、そば猪口でコーヒーを頂きながら本を読みかえしたい。



山水未確認飛行物体ノ図 伊万里焼き 江戸中期


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